最近、友人が『ぼっち・ざ・ろっく!』にハマったらしい。
ハマりすぎてギターも買ったと言うからビビる。かつて『けいおん!』に感化されてギター買った自分みたいだ。オタクはいつの世も変わらない。
そんな彼、ぼざろ作中でめちゃめちゃオマージュされているバンド、アジカンことASIAN KUNG-FU GENERATIONに興味が湧いたという旨を語っていた。これまでアジカンのことを知らなかったらしい。なんて幸せなやつなんだ、羨ましい。
私もまた初見の気分で『或る街の群青』とか聴きたいよと思ったが、それはそれとして・・・・・・今回の記事では、アジカンをこれから聴こうと思ってる人向けにアルバムを5つ紹介したいと思う。
アジカンは活動が長く、作品が非常に多い。そのため「気になるけどどれから聴いたほうがいいの?」という迷いもあるだろう。だからファンの視点で部分的な紹介を行う。
最初に言っておくと、以下5つに限らず全部良い。素晴らしい。
下記に無いものも最高なのだが、あえて・・・・・・今回はあえて5つに絞りたいと思う。これらは個人的な好みというより、バンドとしての変遷を含めた、全体像を理解するための5枚だ。
このアルバムたちでアジカンの全体像が分かる・・・・・・ファン目線で考えたそれらだが、選択の参考になれば幸いだ。迷ったらとりあえず最初はソルファでどうぞ。
ぼざろとアジカンの関係性
アルバムの紹介に入る前に、作品とグループの関係性について紹介しようと思う。偶然アジカンと同じだった、のではなく、ちゃんとリスペクトしたうえでの合致になっている。
たとえばキャラの苗字はそのままメンバーのそれと同じだし、誕生日も各自逆さにしたものと対応している。ただ性格などはさすがに関係なし。山田さんはあんなに金に汚くない。
また作品内問わずお互いに交流はあるそうで、はまじあき氏がライブに行ったり、後藤氏がnoteでぼざろに言及したりということもある。それぞれを認知し、接点もあるようだ。
さて、分かりやすいのはサブタイトルだろう。これは明確にオマージュしていて、ラストでカバー曲が来るという気持ちの良い構成。
各話サブタイトルは曲名そのもの、もしくは明確なもじりとして使われており、全体を通して見ても意図的な配置であることが分かる。
- 1:転がるぼっち/転がる岩、君に朝が降る
- 2:また明日/それでは、また明日
- 3:馳せサンズ/長谷サンズ
- 4:ジャンピングガール(ズ)/ダンシングガール
- 5:飛べない魚/飛べない魚
- 6:八景/八景
- 7:君の家まで/君の街まで
- 8:ぼっち・ざ・ろっく(元ネタ無し)
- 9:江の島エスカー/江の島エスカー
- 10:アフターダーク/アフターダーク
- 11:十二進法の夕景/十二進法の夕景
- 12:君に朝が降る/転がる岩、君に朝が降る
そんなぼざろとアジカンの関係性を改めて確認したところで、以降はおすすめアルバム紹介を行う。ぜひ、聴きながら読んでいただければ幸いだ。
『ソルファ』:色褪せない名盤

- 1:振動覚
- 2:リライト
- 3:君の街まで
- 4:マイワールド
- 5:夜の向こう
- 6:ラストシーン
- 7:サイレン
- 8:Re:Re:
- 9:24時
- 10:真夜中と真昼の夢
- 11:海岸通り
- 12:ループ&ループ
アジカンが有名になったきっかけでもあり、私が初めて聴いたアルバムでもある・・・・・・そんな個人的のみならず、ファンにとっても大いに意味ある名盤だ。
アジカンをあまり知らない人でもおそらく『リライト』や『Re:Re:』は聴いたことがあるはずだ。それぐらい有名な楽曲。
前者は『鋼の錬金術師』のオープニング、後者は『僕だけがいない街』のオープニングにそれぞれ使われた背景がある。最近だとM-1グランプリのPVで採用されていたり。
シリーズ作品における「はじめて」は特別印象に残りやすい。
今や10枚以上もあるアルバムで、私が特にソルファをもう20年ぐらい推しまくっている理由は「はじめて聴いたアジカンのアルバムだったから」に他ならない。
けれど、高評価の理由はそんな懐古厨的な側面だけでなく、もちろん楽曲そのものが素晴らしいというのは多大にある。そりゃそうだ。私はソルファに収録されてる曲が全部好き。特に推したいのは12曲目『ループ&ループ』。
スタッカートが超気持ち良い、思わず口ずさみたくなるそんな名曲。今見てもなんだか不思議なPVで。一度見たら忘れられないインパクトがある。彼らのPVはこういうのが多い。
さて、アジカンのスゴいところは、音楽の食傷が無いというところだ。どれだけ良い曲であっても、何度も聴けばぶっちゃけ飽きる。
ファンにとって、それこそRe:Re:なんて耳コピできるぐらい聴き倒された楽曲・・・・・・にもかかわらず、いつ聴いても「いいな」と素直に思えてしまう。これがスゴい。
同様に、ソルファなんてもう何百回と聴いているのに、今この記事を書きながら流していても全然マンネリを感じない。『振動覚』のイントロ1秒からもうすげーかっこいい。
それはやはり、メロディ、リズム、言葉のどれか1つに依存していないからであり、曲単位ではなくアルバム単位で耐久力があるからだ。だからいつ聴いてもその良さは衰えない。
ちなみに、このアルバムには2016年版・・・・・・いわゆる再録版が存在する。そっちはそっちで大変素晴らしいのだが、いったんは忘れてほしい。
いやまあ別に聴いても問題はないのだが、やはり2004年版から聴いたほうが良いんじゃないかなと思ってしまう。ていうか再録版ですら10年ぐらい前ってビビるな。
『君繋ファイブエム』:すべてのはじまり

- 1:フラッシュバック
- 2:未来の破片
- 3:電波塔
- 4:アンダースタンド
- 5:夏の日、残像
- 6:無限グライダー
- 7:その訳を
- 8:N.G.S
- 9:自閉探索
- 10:E
- 11:君という花
- 12:ノーネーム
ある意味でアジカンの始まりでもある1stフルアルバム。ソルファがアホほど売れたため若干影が薄いとされがちだが、侮ることなかれ、収録曲のレベルはまったくもって劣らない名盤だ。
このアルバムに時代、というかアジカンの歴史を感じるのは、まだこの頃は尖っていた印象を曲から感じるからだ。もちろん、今エッジが無くなったとは言わない。そうではなく、程度の問題だ。
今のアジカンは音楽というものを追求している雰囲気がある。より良い音楽とはなにか、新しい表現はなにか、そんな風に。
しかし、君繋ファイブエムに収録されている楽曲はどれもが荒さを感じる。これは「未完成」という意味ではない。手数が少ない時代ゆえの一点集中のかっこよさ・・・・・・これを感じるのだ。
初期衝動の塊。ここに、結束バンド初期のようなストレートな音楽性を感じる。
ただ、アルバムそのものはともかく、ベストとかに収録されてない曲が多いせいでイマイチ知られていない気がする。だからこそ、このアルバムを勧めたい。これだからこその意味がある。
私は正直、ベストアルバムというものにあまり良い印象がない。「これ入ってないの!?」と「これ入ってんの!?」が多すぎて意図が読めないのだ。特に『夏の日、残像』がここにしか無いというのは衝撃以外の何物でもない。
ちなみにこの曲は2024年のファン感謝祭における投票で1位を獲得した。やっぱみんな好きなんじゃん!
『ホームタウン』:新機軸と革新

- 1:スリープ
- 2:ホームタウン
- 3:レインボーフラッグ
- 4:サーカス
- 5:荒野を歩け
- 6:UCLA
- 7:モータープール
- 8:ダンシングガール
- 9:さようならソルジャー
- 10:ボーイズ&ガールズ
私は、ロックバンドがたまに歌うバラードや大人しめの曲が大好きだ。
それこそONE OK ROCKの『Wherever you are』、MAN WITH A MISSIONの『colours』などなど・・・・・・これは普段彼らがゴリゴリのやかましい曲を歌っているからこそ沁みる。
このアルバムはまさしく、そういうテイストの曲が多く収録されていて非常に好みだ。
それこそ、ソルファや君繋ファイブエムでは「消してえええええええええ」とか「旋風吹けええええええ」なんて言ってたのに、今回はだいぶ落ち着いたメロディばかり。
特に好きなのは6曲目の『UCLA』、そして10曲目の『ボーイズ&ガールズ』。
私は、アジカンはこういうミドルテンポの曲こそが一番真価を発揮すると思っている。彼らの(というかゴッチの)、少し冷たい、けれど言いたいことが素直に伝わってくるその叙情的な音楽に、私はずっと心酔している。
さて、アジカンは何もずっと同じことをやっているわけでなく、節目節目で感じが変わっている。
昔はギャンギャン音を鳴らしていた、尖っていた彼らの音楽性が大きく変わったのは、たぶん2012年あたりだったと思う。2011年に起こった震災の影響だろう。
『それでは、また明日』や『アネモネの咲く頃に』なんかは露骨で、本人の政治的思想がやや垣間見える。真正面から殴るのではなく、下地としての衝動に書き換わった。
そこについて語るのは野暮なので触れないが、ひとまず音楽については「これこそアジカンだな」と思っている。表面には出ない、本質的な叙情感。
そんな成長と挑戦を続けるアジカンの音楽の中で、すっぽりハマり、良い意味で変わりきったのがこのアルバムだと思う。
思うに、ホームタウンは内省に移行した、内側を整理する音楽になったのだと思う。「かっこよさ」とかではなく、ゴッチが年を取ったこともあって、次代へのつなぎの役割を感じるものが多い。
老人が若者のふりをするのではなく、しかし片隅で縮こまるのではなく、自分という存在がどう世界に機能するのか、音楽でどう表現できるのか・・・・・・その立ち位置の変化を明確に感じるアルバムだ。
かっこいい年の取り方をした人だな、と思う。
得てしてこういうものは「昔のほうが良かった」なんて言われるけれど、私はこの割と新しめの(2018年って新しくもないか)音楽集が大好きだ。
最後に、表題曲になっている『ホームタウン』をぜひ聴いてほしい。録音面が変わったのか、非常にダイナミックな音になっていて、ただただ聴いていて気持ちいい。特にドラムが良い。
『フィードバックファイル2』:粒ぞろいの幕間

- 1:ローリングストーン
- 2:スローダウン
- 3:十二進法の夕景
- 4:夏蝉
- 5:夜のコール
- 6:白に染めろ
- 7:ムスタング (mix for 芽衣子)
- 8:雨上がりの希望
- 9:ひかり
- 10:オールドスクール
- 11:リロードリロード
- 12:夜を越えて
- 13:冷蔵庫のろくでもないジョーク
- 14:ケモノノケモノ
- 15:今を生きて
- 16:迷子犬と雨のビート(2010 江東区立若洲公園)
- 17:アネモネの咲く春に(2012 東京国際フォーラム)
少し寄り道をしよう。
こちらはアルバムに未収録の曲を集めたモノで、フルアルバムというよりはコンピレーションアルバムになる。とは言え、聴く側からしたら「だからなんやねん」以外の何物でもないが。
正直言うと1より2のほうが好みに偏りがあって、そっちばかり聴いている。前述した通り、私は初期よりもどちらかと言えば変遷していったアジカンのほうが好きということで、この結果なのかも。
しかしまあ、改めて見るとこれらがアルバムから抜け落ちた曲なのかと思うとびっくりする。ぼざろのサブタイトルにも採用された『十二進法の夕景』なんかは言わずもがな。
なぜこの曲を11話でオマージュしたのかと言えば、やはりあの話そのものが「一歩の先が終わりなのか始まりなのかがわからない」からなのだと思う。
十進法で巡る想いを
何処かで追い抜いた針を
巻き戻して
ふたつ心に付け足して
進めて
結果としてこれまでのライブは成功したし、12話も上手く行った。しかしあの時点では「わからない」。すべて灰になっても、自分で消した時が最後に君の最後になる・・・・・・そういうことなのだろう。
だからこそ、このアルバムは特別で、そして有意義な寄り道になる。
さて、私がこのアルバムで特に推したいのは『ひかり』と『今を生きて』だ。なんだか説教臭い曲に思えそうだが、実際はそんなこともない。
およそアジカンは無責任な言葉で勇気づけたりということをせず(ぼっちちゃんも似たようなこと言ってたような)、ただ真摯に、誠実に言葉を綴っている。もちろん、それが鬱陶しく聴こえるかどうかは個人の問題だが。
悲しみを打ち消すメカニズムはなくて
優しさを持ち寄るしか僕らはなくて
TVでは遠く街並が映って
僕らは何処へも行けずにいる
ひかりは無力感のようなものを誇大に表現しているわけじゃなく、そういうものであって、それを踏まえて明日が来る・・・・・・という旨を切ないメロディとともに歌っている。
なんだか陰鬱ではあるけれど、「生きていこう」というサビの部分は盛り上がり、決してネガティブなままじゃ終わらない。
今を生きても、歌詞だけならやや後ろ暗い感じはするが、実際のメロディは楽しげで、ネガティブな印象はない。
もしかしたらこのままじゃマズいかもしれない・・・・・・けど、そんなことを考えてもしょうがなくない?と思えるようなだらっとしたアジカンの雰囲気が、私はとても好きだ。
『ワールドワールドワールド』:完璧な構成

- 1:ワールド ワールド ワールド
- 2:アフターダーク
- 3:旅立つ君へ
- 4:ネオテニー
- 5:トラベログ
- 6:No.9
- 7:ナイトダイビング
- 8:ライカ
- 9:惑星
- 10:転がる岩、君に朝が降る
- 11:ワールド ワールド
- 12:或る街の群青
- 13:新しい世界
「アジカン最高傑作のアルバムは?」という問いへの有力な答えがこれだ。
最盛期と言うか絶頂期の作品なだけはあってファンの中でも非常に評価が高い。私はソルファマンなのだが、ワールドワールドワールドを出されたら「分かる~~~~」となってしまう。
アルバムというのは単に曲が詰め合わされたものではなく、1つのテーマに沿って最初から最後まで考えられて構成されているものだ。なんかこの順番になった、のではなく、その順番には意味がある。
本作のテーマは「世界の夜明けから日暮れ」。とにかく通して聴くことに意味のあるアルバムだ。
そりゃまあ全部名曲なのだが、結局のところ『転がる岩、君に朝が降る』があまりにも強すぎる。歴代最強クラスの曲と言っても差し支えないと思う。メロディ、歌詞、あらゆるすべてがここまで完璧な楽曲はそうそう無い。
ぼざろのサブタイトルを見て「どうせだしカバーとか流れないかな~」とか考えてたら、最後、本当にぼっちちゃんが歌ってくれて思わず泣いた。あまりにもストーリーと歌詞がマッチしすぎて最高でした。
この曲の歌詞は決して前向きじゃない。特別な誰かになれない無力感を抱えたエニワンの、普遍性のある内省だ。
でも、日暮れがあれば夜明けがある。だから、この朝から何かを始めよう。ダメな自分かもしれないけど、それはそれとして今ここに大切なものがあるんだから・・・・・・みたいな、アジカン特有の小市民的な希望を提示している。
出来れば世界を僕は塗り替えたい
戦争をなくすような大逸れたことじゃない
だけどちょっと それもあるよな
俳優や映画スターには成れない
それどころか君の前でさえも上手に笑えない
そんな僕に術はないよな
ぼっちちゃんは間違いなくギターヒーローだった。けれど、彼女は俯瞰して自分を見た時の行き場のなさも感じていた。
自己認識は高度な判断だ。臆病なのは過小評価をしているからでなく、むしろ自分と相手をよくわかっているからこその戦略論。むしろ、根拠のない自信ほど何もわかっていないことの証左だ。
ただ、ぼっちちゃんは諦めなかった。だから彼女にはやがて、朝が降ったんだと思う。
また、ワールドワールドワールドは『アフターダーク』などの有名曲だけが骨子を担っているわけではない。『ナイトダイビング』なんかの幕間曲(というにはあまりにも強すぎるが)も秀逸。
良い曲、というより「気持ちいい音楽」なのだ。
このアルバムを一言で表現するなら「完璧」というものが当てはまる。過不足無く、それがそれであるために十分に構成されている。
要らないものなんて何もなく、すべてに文脈と意味があるのだ。
いっそ全部聴いてほしい
いやまあ分かるよ。
『ファンクラブ』とか『マジックディスク』とか『ランドマーク』が無いやんと言いたくなる気持ちはわかる。でもこれは尺の問題なんですよ。全部おすすめではあるんですよ。いや本当に全部素晴らしいのでぜひともいろいろ聴いてほしい。
最後に、一番好きな曲を紹介したい・・・・・・と思ったのだが、これちょっと時期によって変わる。とりあえず今は『生者のマーチ』が好きです。ちょっと前は『フラッシュバック』でした。多分また変わります。
ぼざろも良い、アジカンも良い。それら2つを一緒に摂取すると健康になる。
愛最優先の本記事があなたのアジカンデビューのきっかけになれたら、ファンとしては感無量だ。
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