ミニマリスト向け財布「BANDO」レビュー:6年使って分かった薄い財布の良さ

自分に合う財布というのはなんとも見つけにくい。

そもそも財布は「カードやお金を収納する」ことが目的であって、それ以外はオマケみたいなものだ。しかし、色々とメーカーは画策して機能や付加価値を付けたがる。

  • RFIDブロック
  • AirTag対応
  • カードポップアップ
  • 高級革
  • ブランドロゴ
  • 小銭入れ

正直、いらない。そういうのは求めていない。

私が財布に求めていたのは、ブランド感でも高級感でもなく、「カード数枚と紙幣を邪魔にならず持ち歩けること」だけだ。

足すのではなく削る。そんなものは少ないため「これだ!」と思える財布はあまりなかった。「ここまでじゃなくていいけど・・・・・・」みたいな妥協が基本。とりあえずで使っていた。

自分の生活がだんだんミニマルな方向に寄っていく中で、財布だけが妙に大きく感じるようになっていた。中に入れているものは少ないのに、財布だけは立派に大きい。そのズレが気になっていた。

でも財布ってそういうもんだよな、という納得。そうして適当な商品を使っていた。

そんな折、激震が走る。クラファンで出資を募集しているものの中に、「自分の望む最強の財布」をようやく見つけたのだ。

それが「BANDO」というミニマル財布だ。

一般的な知名度は高くない。少なくとも、財布売り場でよく名前を見るようなブランドではないし、レビュー記事が大量に出てくるような製品でもない。実際、情報は少ない。

それでも、私はこの財布をかなり気に入っている。なんだかんだと6年も愛用し、シリーズを全部買うぐらいまで心酔してしまった。

なにがそんなにすごいのか、おすすめしたくなる商品なのか。

今回は、プロモーションとか一切関係なく、BANDO大好きな1ファンによる紹介を行いたいと思う。本記事がミニマルな財布を求めている人の助けになれば幸いだ。

BANDOの経緯と会社について

まず、誰が作っているのか、ということについての説明をしたい。人によっては透明性が気になるだろう。

BANDOは、Dash Walletsというメーカーが制作しているミニマル財布シリーズだ。

Dash walletsの公式サイト

もともとクラウドファンディングで展開されていたもので、そこから2.0、3.0、4.0と世代を重ねてきた。単発で出して終わりの製品ではなく、改良を続けながらのシリーズとなっている。

いわば、これはKickstarter発の小規模D2Cウォレットブランドだ。サンフランシスコ拠点の小規模企業で、10件以上のクラウドファンディング実績を持つ、製品で信頼を勝ち取っている職人たち。

Dash Walletsについて調べると、会社としての情報は多くない。しかし、その実績はたしかにある。

主力シリーズであるBANDO・・・・・・特にBANDO 2.0は日本のGREEN FUNDINGにも登場しており、「国内外のクラウドファンディングで合計4300万円以上」「世界95か国で25万個」と、一時的な詐欺サイトや実体不明ブランドどころか、クラファン文脈で長く活動している小規模メーカー足る功績を残している。

私も最初こそはやや不安だった。

大手メーカーと違って粗雑なのかなとあまり期待はしていなかった。が、実際は、一般的な高い財布となんら遜色ない出来のものが届き、印象が覆される。

さらに、配送対応にも不満はなかった。国際便なので多少時間がかかるのは仕方ないが、住所に不備があったときには「住所が途中までなので直してほしい」といった連絡もきちんと来た。少なくとも、雑に売って終わりという感じではなかった。

Dash Walletsは、派手に名前が知られている会社ではない。けれど、届いた製品と対応を見る限り、少なくとも「よく分からない怪しい会社」ではない。

私の印象としては、大規模ブランドというより、実直な小規模メーカーに近い。知名度を大きく広げることよりも、ミニマル財布という狭い領域で製品を作り、少しずつ改良し続けている会社に見える。

BANDOは、「有名だから安心」という財布ではない。

むしろ、「知られてはいないが、使ってみるとちゃんとしている」タイプの製品だと思う。

もともと「プレミアムな財布を非常に手頃な価格で提供する」ことを目的に設立された会社らしい。その名目に恥じない活動をしていると、強く思う。

歴代BANDOの紹介

ここからは、実際に使った各BANDOについて書いていく。

大雑把に言うと、2.0は一番シンプル、3.0はカードレバーが加わって便利、4.0は収納性や保護感を足した代わりにBANDOらしい薄さが少し弱くなった、という印象だ。

先に結論を言うと、私にとって一番バランスが良いのは3.0だった。ほぼ同列で2.0。4.0は機能過多に感じる、ということでおすすめはしない。

もちろん、これは私の使い方を前提にした感想だ。カードを多く持ちたい人、機能が多い方が安心する人、財布に収納力を求める人なら、4.0の方が合う可能性もある。

私の用途(目的)は以下となる。

  • カードは4枚程度
  • 小銭ナシ
  • たまに紙幣を使う
  • ポケットに入れて携帯する

また、BANDOの評価軸は以下で考える。

  • 薄さ
  • 軽さ
  • カードの取り出しやすさ
  • ポケット内で邪魔にならないこと
  • 余計な機能がないこと
  • 小銭や鍵などを無理に入れない前提
  • BANDOらしいミニマルさ

BANDOは世代を重ねるごとに便利にはなっている。しかし、必ずしも新しいものが自分にとって最良とは限らない。ということで、最適なものを選択するのがベターだ。

2.0:必要十分なミニマルさ

3.0がおすすめと言ったが、実はこれも同じぐらいおすすめできる商品ではある。

3.0以降、かなり機構的な部分が強まったが、2.0の特徴はそのアナログ感だ。3.0以降は進化したものの、それによって問題も発生したように見える。

さて、2.0の良さは、とにかく薄くて軽く、そして柔軟性があることだ。

BANDOはシリーズの共通項として、そのミニマルさがある。財布というより、カードと紙幣をまとめるための1枚の板に近い。ポケットに入れても邪魔にならず、持ち歩いている感覚がかなり薄い、「存在感のなさ」が特徴だ。

BANDO 2.0の薄さとミニマルな形状が分かる横向きの写真
BANDO 2.0のサイズ感を示した画像

なのだが、今後進化すると無理して更に小さくしたり、素材が硬質になっていく。これが微妙。その点、2.0は耐久性と使い心地のバランスが良いのだ。

財布として主張してこない。必要なものは持てる。でも、それ以上のことをしようとしない。そこに魅力がある。

カードスロットの仕組みもアナログだが、それはマイナスにならない。ヒモのような部分を引っ張ることでカードを取り出す構造(プルタブ式)なものの、オーガナイザーがあるので引き出した時にカードが重ならないのだ。

BANDO 2.0のプルタブ式のカードスロット

これ、最初は耐久性に不安を覚えてもおかしくない。ただ、実際には6年ほど使ってもヒモが緩んだり、抜けたりすることはなかった。もちろん、思いっきり引っ張れば別だが、通常使用なら破損はないだろう。

そんなわけで必要十分だったのだが、不満がまったくなかったわけではない。

唯一気になったのは、小物ポケットの固定力だ。

紙幣をバンドで留める部分の下に、小銭や鍵を入れられそうなポケットがある。ここはアクセサリースロットという扱いなのだが、紹介に対して実態はかなり心もとない。

BANDO 2.0の小物ポケットとアクセサリースロットの構造

そもそも、しっかり固定する構造ではないのだ。圧が弱く、中に入れたものが普通に動いてしまう。ポケットの口は少し狭くなっているものの、素材的にストッパーとしてはそこまで強くない。

そのため、鍵のような小物を入れると落ちる危険がある・・・・・・というか実際、私はそこに鍵を入れた結果、紛失した。財布をポケットに入れていたら、その揺れで鍵がポケットからはみ出し、そのまま落下したのだ。

ここは明確な欠点だと思う。

ただ、それで2.0全体の評価が大きく下がったかというと、そうではない。小物ポケットに鍵を入れなければいいだけだからだ。鍵は別で持つ。小銭も別で管理する。そう割り切れば、財布としての使い勝手はかなり良かった。

欠点はある。けれど、致命的ではない。2.0の総評としてはそんなところだろう。

ちなみに、実を言うとこれの前に1.0となる商品があるのだが、2.0で大幅改良したため、今はもう買えなかったりする(1.0はあくまで試験的商品の扱い)。

3.0:いま一番ちょうどいい

現時点で一番気に入っているのは3.0だ。理由はシンプルで、2.0の雰囲気を残しながら、便利さが増しているからだ。

3.0にはカードレバーが導入されている。レバーを操作するとカードが出てくる仕組みで、2.0のアナログなカードスロットよりも取り出しやすい。あと使ってて楽しい(ガチャガチャ感の気持ちよさ)。

BANDO 3.0のカードレバーでカードを取り出した状態

また、公式ではスリム化がうたわれており、実際に2.0よりも一回り小さく感じる。

BANDO 2.0と比較した時の3.0のサイズ感を示した画像

ということでカタログスペック的には完全に「進化」だ。

が、もちろん、3.0にも不満点はある。

まず、どうしようもないマイナスポイント(というか唯一の問題点)はポケットがかなりきついことだ。サイズを無理してさらに小さくしたせいで本当にきつい。

どれぐらいきついのかというと、押し込んだカードが取れなくなるぐらいだ。誇張抜きでマジで取れない。

BANDO 3.0の窮屈なカードポケットについての画像

本来の使い方は、よく使うカードはポケットに、じゃないものはスロットに、なのだが、私はもはや全部スロットに入れている。ポケットに入れたらペンチとかじゃないと取り出せないし。

カードを入れたときの固定力は上がっているが、そのぶん出し入れがしづらい。落ちにくくなったのは良いが、今度は入れるのも出すのも大変になっている。ここは正直、快適とは言いにくい。

実際、2.0はこんな窮屈じゃなかった。かなり取り出しやすく、それでいて固定されていた。なぜこうもスリム化してしまったのかが謎。公式のgifではホイホイ取り出しているが、あれは無理だ(カードを長期間入れっぱなしにして革を伸ばせば可能?)。

ただ、これも使わなければ回避できる部分ではある。私みたいにスロットに全振りする、ポケットを積極的に使わないなら、大きな問題にはならない。

ということで、「3.0は進化したけど完璧な財布ではない」みたいな評価が妥当だろう。

2.0のシンプルさと4.0の過剰さの間にいて、全体としては一番バランスが良い。BANDOが便利になりながらも、まだギリギリBANDOらしさを失っていない世代だと思う。

4.0:BANDOとしては過剰

4.0は、正直言ってガッカリしたというのが印象強い。

ベースは3.0だが、ポジティブな変化は殆どない。

最も大きな変化は手帳型になったことだ。これによって、サイズがやや大きくなった。しかしこれはBANDO本来のスタート地点であったミニマルさからズレたように思える。いわゆる機能肥大化だ。

BANDO 4.0の手帳型構造とカード収納部分

それ以外の変化は乏しく、ポケットのきつさは相変わらずだし、改善らしい改善は見えない。むしろ、手帳型になったことでワンタッチでカードレバーを操作することができなくなってさえいる。

3.0で完成していたものに余計なものを付け加えて微妙になった・・・・・・私の4.0に対する印象はこうなる。

4.0は、財布単体として見れば悪くない。

相変わらずカードレバーは便利だし、一般的な財布と比べればまだ十分にミニマルな部類だと思う。ただ、2.0や3.0を知っている立場から見ると、少し違和感がある。3.0より良い部分がほぼ無いのが痛い。

4.0は、改善の意識を感じる、便利にしようとした商品ではある。けれど、本来のBANDOの思想からは少し離れた財布に思えてしまう。

私が「BANDOらしさ」だと思っているのは、財布に多くをさせることではなく、カードと紙幣をできるだけ薄く、邪魔にならない形でまとめることだ。

その基準で見ると、4.0の手帳型化は便利さの追加というより、BANDOの強みだった「存在感のなさ」を少し削ってしまったように感じる。

BANDOの適性を考える

BANDOは、かなり人を選ぶ財布だと思う。

私はかなり気に入っているが、誰にでも勧められる財布ではない。むしろ、財布に何を求めているかがはっきりしていないと、使いにくく感じる可能性はある。

まず、向いているのはカード数枚で生活が完結する人だ。

財布を「カードと少しの紙幣をまとめて運ぶもの」と考えている人なら、かなり相性がいいと思う。感覚としては、財布というよりカードケースに近い。必要なものだけを薄く持ち歩くための道具。

長財布のスペースを持て余している人にも向いている。

財布の中を見たときに、実際に使っているカードが数枚しかない。レシートもほとんど入れない。小銭もあまり持たない。それなのに財布だけは大きい。そういう人なら、BANDOに替えることでかなり身軽になるだろう。

特に、「財布を薄くしたい」という目的が明確な人には合いやすい。

BANDOは、何となく便利そうだから買う財布ではない。収納力を増やす財布でもない。むしろ、財布から余計なものを抜いていくための財布だ。

だから、ブランドより使い勝手を重視する人、持ち物を軽くしたい人、キャッシュレス中心で生活している人には向いている。

一方で、向いていない人もはっきりしている。

  • 小銭をたくさん持ちたい人
  • レシートを溜める人
  • ポイントカードや診察券などを大量に持ち歩きたい人
  • 財布を第2のバッグのように使う人

とにかく長財布にカードを何枚も入れ、レシートを入れ、小銭を入れ、何かあったとき用のものまで入れておきたい・・・・・・そういう使い方をするなら、BANDOは不便に感じるだろう。

また、日本はまだ現金を使う場面もあるので、小銭をまったく持たない運用も人によっては難しいかもしれない。BANDOで小銭の使用はほぼできない(保管できない)。

というわけで、BANDOは財布にいろいろ入れたい人のための財布ではない。財布からいろいろ抜きたい人のための財布だ。そこが合うなら、かなり長く付き合える財布になると思う。

製品の良さはレビューの数じゃ決まらない

たぶん、今使っているBANDOが壊れたら、また買うと思う。まずは3.0を探す。あるいは2.0に戻るかもしれない。そして、もし5.0が出るなら間違いなく買う。それほど楽しみにしている。

こういう製品に出会うと、少し考え方が変わる。

強く感じたのは「良い財布というのはスペックの多さで決まるわけではない」ということだった。

BANDOには、小銭入れも十分な収納力も、有名ブランドの安心感もない。けれど、私の生活に必要なものだけを過不足なく満たしていた。

良いものは、必ずしも有名ブランドの中にだけあるわけではない。レビューが多いものだけが正解でもない。情報が少なく、名前も知られていない製品でも、自分の生活に噛み合えば、それは十分に最高の一品になり得る。

もちろん、無名のものを選ぶにはリスクもある。

届かないかもしれない。品質が悪いかもしれない。思っていたものと違うかもしれない。だから、無名にもデメリットやリスクは存在する。けれど、絶対に避けるのもまた違う。

「こうだったらいいのに」を実際に作っている会社は、割とある。

良い商品とは、万人にとって高級なものではない。誰にとっても便利なものでもない。自分にとって、自分の生活に対して過不足がないものこそが良い商品なのだ。

私にとってBANDOは、そういう財布だった。

もし「財布をもっと薄くしたい」「必要なものだけを持ち歩きたい」という感覚に心当たりがあるなら、BANDOは一度見てみる価値があると思う。


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